タイ企業の株式の時価総額ランキングです。タイの株式市場に上場する銘柄の企業価値の順位になります(2020年時点)。タイ証券取引所(SET)の株価や主要株価指数(SET指数など)の値動き大きく左右する財閥や国営企業がそろっています。いずれもASEAN諸国はじめ東南アジア経済の中核を担う企業です。日本企業との関係も深く、投資対象としても注目度が高いです。1位は国営のタイ石油公社(PTT)、2位はタイ空港公社(AOT)、3位はコンビニ最大手のCPオール(チャロン・ポカパン)になっています。スナップアップ投資顧問やブルームバーグのレポートを参照しました。


タイ企業の時価総額ランキング

トップ10
順位 会社名 概要
タイ石油公社(PTT) タイの国営エネルギー企業。天然ガスと石油を手掛ける。タイ政府が約7割を出資している。タイ企業としては最大の売上高を誇る。従業員は子会社を含めると約3万人。米フォーチュン誌が発表する「フォーチュン・グローバル500」に、タイ企業として唯一、ランクインしている。2019年は130位だった。

石油とガスの採掘から精製、生産、販売までを一貫して行っている。タイ(人口6900万人)は消費電力の7割弱を天然ガスが占めている。その主な供給源となっているのが、タイ石油公社である。産地のタイランド湾にガスの海底パイプラインを保有する。

1978年に設立。当時は、軍事政権だった。当時の首相は、クリエンサック・チョマナン大将だった。1990年代後半以降は、石油化学の川下分野での本格進出を進めた。2001年にタイ証券取引所に株式を上場した。

日本企業と様々な形で共同プロジェクトを手掛けている。2016年には傘下のカフェチェーン店「アメィゾン(Amazon)」を日本に進出させた。現在、福島などに3店舗を構える。2019年には、ベンチャーキャピタルの環境エネルギー投資(東京都品川区長)がエネルギー産業の構造転換などを見据えて運営するファンドへの出資を決めた。北米や欧州でもベンチャーキャピタルに出資した実績を持つ。
タイ空港公社(AOT) タイ国内の10の国際空港を運営している。空港の運営会社としては、スペイン国営のアエナを上回り、世界最大の時価総額を誇る。2002年設立。国営の空港運営局が民営化されて発足した。現在も、タイ政府が70%の株式を握っている。
CPオール(チャロン・ポカパン) 小売り大手。日本のヨーカドーからコンビニ「セブン・イレブン」のライセンスを取得し、タイで全国展開。2000年代、2010年代に急成長を遂げた。有力財閥のCP(チャロン・ポカパン)グループの中核企業である。

CPグループは食品、通信事業なども手掛けている。グループは中国から移住したエクチョー・チャラワノンの一族が創業した。野菜の種苗からスタート。エクチョーの長男チャランが、1957年に家畜飼料の販売店チャロン・ポカパンを開店した。さらに、チャランの弟タニンが不動産、通信、保険などに進出。コングロマリットになった。

1989年に明治乳業と提携し、牛乳や乳製品の製造・販売に参入した。2014年には伊藤忠商事と資本提携し、相互に株を持ち合った。中国にも積極的に進出し、「正大集団」の会社名で活動している。
アドバンスト・インフォ・サービス(AIS) タイの携帯電話サービスの最大手。4000万以上の契約者を抱える。

後にタイの首相となる起業家タクシン・チナワットが1986年に設立した。タイ政府が保有している携帯電話サービスの営業権を取得。その後の携帯電話の普及に伴い、急成長を遂げた。

インタッチ・ホールディングス(旧シン・コーポレーション)の中核企業になっている。タクシン一族はすでに株式を売却しており、現在は、シンガポールの政府系投資会社が筆頭株主となっている。
サイアム・セメント(SCC) タイで最も古い歴史を持つ製造業者。1913年に、国王の命令で設立された。社名のサイアムは「タイ国王」を意味する。セメントから事業をスタート。その後、建設資材を幅広く手掛けるようになった。さらに、石油化学や製紙にも進出した。自動車、機械、家電にも手を広げ、多角化を進めた。

セメント製造では東南アジアで最大手。従業員は5万3000人以上。タイ王室が30%の株式を保有し、筆頭株主となっている。日本企業では、トヨタ、クボタ、レンゴー、積水化学、日本製紙などと提携している。インドネシアやベトナムなど海外企業に買収にも積極的。
タイ・ビバレッジ 飲料メーカー最大手。ビールなどのアルコール類を主力としている。略称「タイビバ」。

起業家チャロン・シリワダナパクディ氏によって1991年に設立された。老舗ブランドの「シンハー」に対抗し、低価格の「チャン(象)」を展開。急速にシェアを伸ばした。創業者のチャロン氏は「アルコール王」として知られるようになった。2013年にシンガポールの飲料大手フレイザー・アンド・ニーブ(F&N)を買収した。

ビールで成功した後は、不動産ビジネスに進出。土地やビルを買いあさった。親会社TCC(タイ・チャロン・コーポレーション)グループは現在、タイの国土の1%を保有していると言われる。
カシコン銀行 貸出重視ではなく、リスク管理に力を入れている。資産規模は国内4位だが、手数料収入では1位。貸出だけではなく、貿易金融や保険、外貨両替など総合的なサービスを提供しているためだ。手数料収入の割合は4割を超える。収益力が高いため、時価総額は大きい。

1945年設立。チョティ・ラムサムが創業した。1976年にタイ証券取引所に上場した。2002年に、タイ農民銀行から名称変更した。現在は、創業者の孫のバントゥーン・ラムサムが経営トップを務めている。「カシコーン銀行」と訳されることもある。

海外戦略で差別化に成功した。日本との関係も深い。静岡、名古屋、岐阜など20以上の日本の地方銀行と業務提携。タイに進出または進出を考える中小企業を顧客に持つ日本の地方銀行と提携してきた。お互いに支店を持たなくても海外展開する企業にサービスを提供。タイに進出している日系企業から好評を博している。

また、札幌市や東京都大田区など、地方の自治体や経済団体との協力関係も強化。進出時の障害を取り除くことで、中小企業との直接的な関係も深めてきた。
サイアム商業銀行(SCB) タイで最初に設立された国内資本の銀行である。1907年に設立された。タイの王室が設置した。それまでは、外国の銀行の支店が銀行業務を担っていた。

従業員2万7000人。社名の「サイアム」とはタイ王国の昔の呼称。今でも筆頭株主はタイ王室であり、23%の株式を握っている。

1990年代後半に、経営破たんする前の日本長期信用銀行(長銀)が1.62%を出資した。東南アジアの他の国にも進出している。インドシナではラオスにビエンチャン支店、カンボジアでは現地子会社のカンボジア商業銀行が4支店を設置している。

ベトナムでは現地のベトナム農業地方開発銀行(アグリバンク)、タイ大手財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと合弁銀行ビナ・サイアム銀行を設立し、1995年に営業を開始した。出資比率は、サイアム商業銀行が33%、アグリバンクが34%、CPグループが33%。さらに、2015年には、単独でベトナム・ホーチミン市に支店を開設した。
バンコク銀行 タイで最大の銀行。総資産は約11兆円にのぼる。海外にも積極的に進出し、14カ国・地域に拠点を抱える。タイの銀行では最大の海外ネットワークを持つ。生命保険や損害保険も展開し、タイ最大規模の金融グループを形成している。

創業者は中国出身のチン・ソーポンパニット。コメの輸出入や材木などの販売から始まった。事業で稼いだ資金を元手に、1944年、10人の仲間と銀行を設立した。

日本企業との関係では、りそな銀行や横浜銀行といった有力地域銀行と提携している。また、保険子会社バンコク・ライフが日本生命を出資を受けており、25%の株主になっている。
10 PTTグローバルケミカル 化学メーカー最大手。タイ石油公社(PTT)の子会社。2001年に、PTT傘下の3つの化学メーカーが合併して誕生した。タイ石油公社が株式の48%を保有している。2012年に、中国最大の化学品商社、中化集団(シノケム)と提携した。